古代印章の楽しみ方 page1 | 2.3. |
1.印章の歴史 |
私達の日常生活に印章は欠かせません。 契約書は押印することで成立しますが、この最も古 い例は古代オリエントにあります。 古代オリエントとは、主としてチグリス川とユーフ ラテス川の上流域に発達したメソポタミア、ミタン ニや下流域のシュメール、アッカド、バビロニアな どです。その多くは現代のイラクにありました。 今より7千年も前に印章が発明されて、倉庫の扉や 壺、箱、篭などをしばった結び目の上に粘土を塗っ て押印することが行われました。 まだ文字が発明されていない時代なので格子縞とか 葉脈状の持ち主のマークを石、骨、象牙などに彫刻 してあります。こうすることで、倉庫の中の荷物や 包装された中身が盗まれることを防ぎました。 |
古代社会では石に文様を彫ったり、ある形にした物 には魔除けの力があり、この印影が押された粘土な どを破壊すると「たたり」があると伝えられていま したのでこの方法は品物の保管上、大きな効果を発 揮したのです。 今から5千年前のオリエントでは粘土板に楔形文字 で記録や契約書を作り、その多くにスタンプ印章が 押され、この習慣が2千年以上も続きます。 これらはスタンプ印章でしたが約5千5百年前には 円筒印章(シリンダーシール)が発明されました。 |
紐の結び目や封印部分が大きくなるとスタンプシー ルを何回も押さないといけません。この手間を省く 方法が考えられました。円筒状の主として石製の印 章を粘土上にころころ転がして印影を転写する画期 的なやり方でした。 円筒印章を粘土上に指で転がして帯状の印影を残し ます。初期の円筒印章には紐で首から吊るしたり腰 にぶらさげるための「つまみ」が付けられています。 その後、円筒印章に縦穴を貫通させ、この穴に紐を 通してネックレスやブレスレットや衣服に装着する タイプが登場します。「つまみ」付き円筒印章は姿 を消し、貫通穴付きの円筒印章がその後3千年も長 い間使われ続けました。 これは携帯用として便利であるのみならず身分の象 徴(ステータスシンボル)として上流社会の人々に 珍重されました。 |
3千年もの長期間、円筒印章は王侯貴族と高官が独 占的に使用したので、これを身に付けているだけで も人々の尊敬を受けたのです。円筒印章のほとんど が行政上の記録です。 紀元前1千年頃フェニキア人が各国との標準文字と してアルファベットを案出し普及します。 オリエントの国々は粘土、羊皮、パピルス、繊維な どの上にフェニキア文字を記してスタンプ印章で押 印するようになり円筒印章は姿を消します。フェニ キア文字はギリシャ文字やラテン語として伝承され ます。 |
ロ−マ時代には王侯貴族から軍人にいたるまで指輪 の上に宝石や貴石に文字や文様を彫刻した装飾品兼 印章が大流行します。 これを当時のローマ人の言葉だったラテン語でイン タリオ(INTAGLIO)と呼びます。 ローマ字で書いた文章にこのインタリオで押印して 命令文や通信文を書いたのです。 これが現在私達が使っているスタンプ印章である 「はんこ」の起原です。 |
戻る |
NEXT |
お問い合わせ.ご注文 http://www.g-orion.com お電話でご注文・お問合せはTEL:03-3960-8115へ! |