聖母子像 ロシア・イコン 幅約9.3cm、高さ11.3cm 19世紀中葉 聖母マリアとキリストの聖母子像は長年 信者の祈りを最も普遍的に受けて来ました。聖母子像にも色々な形があります。この構図は、モスクワのトレチャコフギャラリーにあるオディギトリアの聖母（1482年）に類似しています。 ほの暗いロシアの家庭でこのイコンを見れば聖母の右手がまず目に入るでしょう。この指先の方向に視線を向けるとキリストが浮んで来ます。さらにキリストの右手の向く方角に聖母がほほえみをたたえて見えて来ます。 オディギトリアの聖母の首は真直ぐに描かれていますが、この聖母は顔をキリストの方へ傾けてより愛情豊かな表現になっていると思います。聖母の手とキリストの手、さらに顔を傾ける聖母によって静かな中にもゆるやかな動きがあって絶妙の構図がこの小さなイコンの中に完成していると思います。光りをほの暗くしてご鑑賞下さい。

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